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441話◇飲む打つ買う


飲む打つ買う。

酒とギャンブルと女。


偏見も混じっているが、

酒にはタバコや肥満が付きやすく、ギャンブルには盗みと家庭崩壊が付きやすく、女には暴力や薬が付きやすい。



どれが一番良くないか?


酒は、肝臓や腎臓がやられて気力が衰えると、おとなしくなる。

歳を重ねて気力や体力が落ちてくると、女もおさまってくる。

例外はあるが。笑


しかし、

ギャンブル熱というものは年とともに重症化することが多い。

そして、年とともに勝負に弱くなる。


だんだん強くなっていくのであれば、まだ救いようもある。

しかし、多くのギャンブラーは年とともに弱くなる。



そして、この三つがなければ大事を成し遂げたであろう人は沢山いる。

結局、最後は自分の意志の強さ次第だけど。



飲む打つ買う。

酒とギャンブルと女。


最悪なのはギャンブルかな。

意志の弱さかな。

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第334話◇出来てきたらどうでもいい


非常に人間ができて風格風韻の高い人物なら、何をしても自由である。どうでもいい。


そんな人が飲み過ぎて酔い乱れているのは、とてもいいものだ。


しかし、馬鹿な奴が酔っ払って乱れたら目も当てられない。


だから、酔っ払って乱れることはダメだとも言える。



しかし、もっと奥に入ると、酔うとか乱れるとか、そんなことはどうでもよくなる。問題ではない。


しかししかし、ただの人間がそれを問題にしなくなると、醜悪で大変なことになる。


そこが難しいところでもあり、真理の妙味でもある。

だから、真理は尊く、また危険でもある。



ただ、

ただ者ではない人間がいることは、ただの人でも考えなくてはならない。



何事も同じである。

だから、稽古でも「あいつは許されるのに、なぜ私は許されないんですか!」と尋ねられても困る。笑


酒◇ホンモノ


アルコールは、人を真に還らせる。

特にマッカラン18年は。


素面(しらふ)の時は自分を偽れるが、酒を飲んでアルコールに身体が浸ると、本音が暴露する。


酒席は無礼講ではない。酒の上の行いは本音である。

だから、慎まなければならない。


普段から「あの野郎!」と思っているから、酒の席でぶん殴ってしまう。笑



ならば、なぜ酒の席でのことは「御免」なのか?無礼講なのか?



酒の上でのことはホンモノだから、それをいちいち咎めていたら大変だ。本当過ぎて身もふたもない。


だから、酒の上のことだからと、責任を酒になすりつけて本当のことを本当ではないことにするのだ。


酒にかまけて本当のことを露出し過ぎてしまっては、人間関係が治らなくなる。

治めるために、酒のせいにさせてもらう。


酒に悪者になってもらう。

それが酒の徳でもある。


何れにせよ、酒席においては、

偽りではなくホンモノの人格が露出する。

酒◇理想の男

飲み会。

映画の話で盛り上がっていた。


「「カサブランカ」のリック(ハンフリー・ボガード)はカッコいい。あの映画に出てくる男は、皆「やせ我慢」のきくいい男だ」


「やせ我慢だけが、いい男の条件ってわけじゃないだろ」


「じゃ、誰かいい男の条件を検討してみろよ。言い出しっぺのお前がやれ」



「よし分かった。まず、フィリップ・マーロウじゃないが、いい男には強さと優しさが大前提だろ」

「潤いや深み、つまり色気も必須だな。それに、洗練されていて優美さがなくちゃつまらない。余裕や広がりがある男だな」

「志や誇り、節度を持ってないと軟弱に見える。気高く生きてる男ってことかな」

「緊迫感があって、穏やかで静かな男もカッコいいだろ。ゴルゴ13みたいな奴」

「誇り高くてユーモアに溢れた男もカッコいい。チャップリンやロベルト・ベニーニのような男」「ライフ・イズ・ビューティフルだろ。あれは泣いた」


「それでいて、シュワちゃんや、ヴィン・ディーゼル、ジェイソン・ステイサムみたいなパワフルな身体はカッコいいな」「もっと細マッチョがいいんじゃねぇか。力だけで技がなきゃ面白くねぇ」



いつの間にか、知らない連中も集まって議論に加わってる。笑


「ビル・ゲイツやスティーブ・ジョブズ、マーク・ザッカーバーグや孫正義やユニクロみたいな金持ちの男」「女はその男の金に寄ってくるんじゃないか?」「いや、金を生み出す能力に寄ってくるんじゃないか?」


「こういう男を全部足して2で割ったような奴が理想ってことか」「何で2で割るんだよ 笑」「水割りだろ 」「ビールで割れ 笑」



…好き放題に言い合った後、

「要するに、俺たちが飲んでる酒の中の酒のような男、つまり、これぞ誰からも文句の出ないザ・酒!みたいな奴こそ、男の中の男だな」

「確かに…、すごい酒は人を寄せるし、美味いし、皆元気になるし、パワフルだし、魂があるし、安くねぇし、油断して近付くと記憶が吹っ飛ぶくらいやられるし…」



「そんな男いるかよ?」

「俺にとってはマッカラン18年だな」「俺はワイルドターキー12年」「響12年」「クラウンロイヤル」「カシスオレンジ」「俺はボジョレー・ヌーボーみたいな女がいい」「理想の男って話だろ?笑」「俺はカフェオレ」「もやは酒じゃねぇし 笑」



愛すべき仲間たち。知らねぇ男女も混ざってるし。笑



それにしても、誰もが自分より格上の存在だと感じている酒を持っているみたいだ。



大笑いしながら、各々「店一番の好い男」を改めて注文し、敬意を払って乾杯、飲み干してきた。


じゃ、また。


酒◇その酒に相応しい男か


先日、バーのカウンターで、たまたま隣に座った男が話してくれた。



…私もこの酒が大好きなんです。大好きというより、育てて貰ったと言うところでしょうか。

20代の時、上司に連れて行かれた店で初めてこの酒の18年ものを飲ませてもらいました。こんなに美味い酒があるのかと感じたと同時に、私はこの酒にまだまだ相応しくないと思いました。器量が全く追いついていないのです。

以来、この酒を飲む度に、自分の器量の小ささを反省し、この酒に相応しい男になるんだと、頑張ってきたつもりです。

対等に飲めると感じたのは、40歳を過ぎてからです。

そして先日、妻がこの酒の25年ものを贈ってくれました。私の誕生日だったのです。酒以上に嬉しかったのは、「あなたは、もうこのお酒も及ばないくらい素敵な男ですよ」という妻からの言葉でした…。



素敵な話だなと思った。

このエピソードの前半だけ、私も同じ経験がある。

世の中にこんなに美味い酒があるのかと感じ、いつかこの酒を飲むに相応しい男になると決意し、自分より若い有望な男に飲ませてやりたいと思った。


酒には、その作り手の魂が込められている。


「お前はその酒を飲むのに相応しい男か?」と聞かれれば、悔しいが返事に少し迷うこともある。



いつの日か、今度は私が、誰かに酒のエピソードを話す夜が来るだろうか。



男は、1本の酒に育てられる。

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