第548話◇オートロックめ!!
昔々、
女を口説いてホテルの部屋で乾杯。
ふたりでシャワーを浴びて、ベッドでシャンパンを開けて再び乾杯、オトナの遊びの続きが始まるはずが…。
女は服を着て部屋を出て行ってしまった。
言ってはいけないことを言ってしまったのか、やってはいけないことをやってしまったのか。
そこら辺の記憶は曖昧だ。
とにかく、私はタオル一枚だけ腰に巻いて女を追いかける。
が、ギリギリでエレベーターの扉が閉まる。
クソッ!
部屋に戻って…と思ったが、無情にも部屋に入ることができない。
ドアのオートロックは、女に振られるような男を決して受け入れてはくれないのだ。
オートロックのドアを無駄だと分かっていて開けようとしている、裸足で素っ裸にタオル一枚のアホな猿が一匹。
数分後、、
アホな猿がヒルトンのロビーに…。
こういう時は網で捕獲される前に、ピエロになって愛想を振りまくか、目で周囲を殺すほどの雰囲気を醸し出すかしかないじゃないか。
裸の私を見て、必死に笑いを堪えて口元を歪ませながら、何事もないように対応したフロントの顔が忘れられない。
…オートロックに嫌われたのは、その時が2度目。
1度目のエピソードは言わない。
クソッ!オートロックめ!