368話◇根と花


論語や大学、易経などの四書五経の文字は、その魂を表したものであり、それは例えば「根」のようなもの。

根は、よく養わなければならない。

そして、安易に地表に出してはいけない。


自分を貫く義とは、例えば幹のようなもの。

幹は枝葉が伸びてくれば自然と目立たなくなる。


人を笑顔や元気にさせるものは、根や幹ではない。

根や幹に支えられた花や実である。

花や実とは、志を形にしたものたちである。


言葉にするのは、花や実のことでいい。

それらは、人を笑顔や元気にさせるものだから。


根や幹は安易に言葉にする必要はない。

ここぞという時だけでいい。


だからと言って、見えないもの(根や幹)を疎かにしていいわけでは断じてない。


見えるもの以上によくよく鍛錬し養わなければならない。

花や実の美しさは、根や幹の強さにかかっているのだから。


自分の根や幹は、強く大きく深く高く。

しかし、それをあまり語る必要はない。


語るべき、形にするべきは、花と実。