世人余話◇人間と他の動物を分けるもの
人間と他の動物を分けるものは何か?
人間は火や言葉を使う。頭脳が発達している。これらが他の動物と違う点だろうか。
人間を機械化するのではなく、人格的存在であるという観点から他の動物と違う特質を考えると、大きく2つある。それは、「徳性」と「知性」である。
1.徳性/習慣
明るさ、素直、清潔を好む、勇気、忍耐、孝、仁、義、礼、敬愛、謙虚、慈悲等。
そして、徳性を修める躾や習慣。
仮に、人間が明るさを失って暗くなり、不潔を好むようになり、人を愛さなくなり、勇気も忍耐力も無くしたら、人間はどんな存在になるか。
2.知性/技能
知識、技術…生活を便利に豊かにするものを生み出していく。文化や文明を築いていく力となる。
例えば、徳性があまり発達せず、知性のみが発達しても、これは意味がない。
高度な知識や技術を使って様々な道具を生み出しても、人類の成長や発展の為ではなく、仁義も敬愛も慈悲もなく、利己的な満足や破壊の為に使用されかねない。
逆に、知性があまり発達しないからといって、人間としての根本的な価値に影響はない。
知識や技術は便利であり価値あるものだが、人間の人格にとっては付属的なものである。それよりも、人を愛したり助けたりすることを知らない、敬ったり恩に報いることを知らない、勇気や忍耐力がなく、不潔で暗い人間であるというのでは、全く話にならない。
「徳性」が本で、「知性」が末。
徳性が根っこで、知性が枝葉。
根っこを培養することで、枝葉に栄養を送り、様々に自己を表現し社会に献身し、花実を結実させていく。
従って、教育においても学び方に順序が出てくる。
1.徳性
2.徳性に基づく習慣
3.知能
4.技能
徳性が、習慣や知識や技術をコントロールする。
この本末を転倒させると、とんでも無い事になる。
私は、人格という根を深めているだろうか。そして、志や目標に向かって伸びる大樹になっているだろうか。