男と女◇愛
愛は敬と切り離せない。
敬のない愛は、弱者やペットに対する「愛おしい」「大好き」と同じようなもの。それでは支配関係になり下がってしまう。
「この口座の金は好きに使っていいぞ。お前を愛しているから」
「あの指輪を買ってあげる。愛しているから」
「店を持たせてやるよ。愛しているから」
金や物や地位などは、徳を補助するものにはなる。しかし、「人の愛」に値するものではない。
人の愛はそうではない。
愛している…の根底には「敬(うやま)い」が必要だ。
自分より遥かに尊く敬える相手だから、「参った」となる。
(惚れた相手や、どうしても敵わない相手にも「参った」と言うでしょう?)
敬い、そして参った相手には「あの人に仕えてみたい」という気持ちにもなる。
男と女、お互いに愛し合っているのなら、
お互いに「仕え合う」関係である。
仕え合う…
仕合(しあ)う…
仕合(しあ)わせ…
幸(しあわ)せ…は、ここから来ている。
「幸(しあわ)せ」とは、男と女が仕え合うこと。
そして、男も女も、相手を愛するようになれば、相手の徳が厚く尊くなるように、自然と自分の立居振舞が変わっていく。
お互いに感化し合い、どこまでも成長していける。
人の愛とは尊いもの。