第484話◇目は口ほどに…?


目は口ほどにものを言う。

言葉に出さなくても、目の表情で相手に伝えることができる。また、言葉で上手く誤魔化しても目に本心は現れる…と言われることがある。


サービス業では、話し方や笑顔と同様、目つき・目線は大切…とも言われたりする。



目つき、眼差しと言えば、すぐに思い出す無骨な板前がいる。

カウンターごしに時折見せるお客さんへの優しい眼差しと気遣いは、お客さんの心を落ち着かせ、板前に安心と信頼を感じさせる。

彼は、「目の前のこのお客さんには何が必要か」を、その時その時目線の先に感じ取り、先手先手でさり気なくもてなしていく。


そんなプロの職人の目線の先にあるものは何か?目は心の窓だからと言って、お客さんの目ばかり観ているのだろうか?w



昔、「今日は目つきの稽古をする。相手の目を睨み、相手を目で殺せることが目標だ」などと過激なことを教わったこともある。その後何ヶ月も、毎週日曜日には動物園で朝から夕方までトラと睨めっこしてた馬鹿もいる。w


論語には、相手の「行為・動機(行為前)・満足(行為後)」を、視て、観て、察しろとある。

五輪書には、「観の目を強く、見の目を弱く」「近くを遠くに見て、遠くを近くに見る」とある。



つまり、こういうことだ。

近くで相手の目を見るよりも、少し距離を置いて相手の全体を見る方が、相手の目を見るよりも心の動きなどはよく見える。

隠し事をしていないか?

動揺や緊張していないか?

敵意や好意を抱いているか?

寂しいのか?

自信がないのか?

心ここに在らずなのか?w


相手の目にも表情にも仕草にも立居振舞にも姿勢にも声にも肌にも体温にも…心の動きは反映される。

相手の目ばかり見なくても、相手の出す音や雰囲気などに、心の動きは現れる。


それが分かって訓練を積んだ人の前に出れば、何かを隠そうとする意図さえ、しっかりと五感全部で受け止めてもらえる。


口ほどにものを言うのは、目だけじゃない。w

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