第415話◇恐怖心


恐怖心は人間に与えられたものであるから、造化に資するよう使うことが大切である。

どんな武器も諸刃の剣。従って、当然ながら、使い方を間違えれば自分を傷付ける。


恐怖心を捨てなかったからこそ、人類は生きながらえて来たことだろう。


しかし、恐怖心に飲み込まれてしまったら、浅はかな選択や、情けない行動に終始することになる。



戦いにおいても然り。

敵は己を恐れ、己は敵を恐れる。

恐怖心というものは、どんな人間にも等しく与えられている。


大切なことは、

「前に出る」ということ。


相手が1歩出れば、こちらは2歩前に出る。

相手が100歩出てくれば、こちらは1,000歩出る。


「恐い。しかし、前に出る!」という精神こそが、己を敗北の惨めさから遠ざけ、勝利へと導く。


自反してみれば、「前に出る」精神こそが、己の誠の心であると思い至るはずだ。


一箇所に留まっていてはいけない。

恐怖心に飲み込まれると、いつまでも同じ所にいる正当性ばかり考えて、恐怖心を擁護し、惨めさを擁護するようになる。



大事なことは「前に出る」こと。

恐怖心は己の一部である。


恐怖心を引き連れて、

前に出ることである。

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